ファイナルを見て思うこと
6 月 20th, 2008今年もNBAを終えてやっと一息。
毎年ここから11月まで長いなぁと感じていたが、最近はオリンピックや世界選手権、その各予選が毎年夏に行われるので、息もつけないワクワクの毎日が続く。最近は中学生や高校生だったころに比べ、NBAというものの存在が私にとってあまり大きなものではなくなっているのかもしれないと思う。
今年のファイナルを見て一番の感想は、「やはりバスケは理屈ではない」ということ。
今年のファイナル、戦前の予想でLAを押した人が多かったのではないだろうか。大きな理由としては、LAがあまりにも圧倒的な強さでウェストを勝ち抜いたこと。ボストンが意外にもイーストを苦しみぬいて勝ち上がったことだろう。
実際、ボストンはどこで負けてもおかしくなかった程、不調の中でこのプレイオフを戦っていた。アウェイで勝てないことへ自分たちへ疑問を投げかけたことも少なからずあったと思う。
ボストンのファイナルでの勝因は、振り返ってみればたくさんある。コービーを筆頭にLAのプレイヤーへの執拗なまでのディフェンス。それは全てが計画されたNBAチームにとっての理想のディフェンスといっていいだろうと思う。それに見事なまでの選手起用。ドック・リバースの采配はシリーズを通じて冴えまくっていた。
しかし、一番大切なことはそれを行動に移す原動力となった、「勝利への飢え」にあったと思う。
もちろん、LAにもそれはあった。ウェストの戦いぶりを見ればそれは明らかだ。しかし、ボストンが上回った。
ボストンのディフェンス、ルーズボール、リバウンド。その運動能力や技術もさることながら、その一つ一つに情熱を感じずにはいられない。
ドック・リバースはベンチで、ロッカールームで、しきりにメンタルの話をし続けていた。プロでも学生でも子供でも、コーチが言うことは同じだ。
どちらが勝ちたいか。全てのプレイの手前にこの「想い」がある。
陳腐な表現になっていることは自覚している。しかし、これしか表現が思い浮かばない。
実は第3戦を見終わった後、私は2年前のファイナルのDVDを引っ張りだしてきて、第6戦を見返してみた。
私がNBAをより好きになった忘れられないシリーズだ。マイアミ対ダラス。ここ2シーズン下降しているこの両チーム。多くの人は、半ばこのシリーズの記憶が薄れてしまっていると思う。
このときのマイアミは、チャンピオンにはなったものの、過去の歴史ある偉大なチームと比較すると、必ずしも最高のチームとは言いがたい、期間限定のチームだったと感じている。
ウェイドがすごかったということは議論の余地はないが、シャックはすでにLAの時のような輝きがなく、ハスレムはNBAの中でもごく並のPF。それにあと二人のスターターはアントワン・ウォーカーと、ジェイソン・ウィリアムスだったのだ。
パット・ライリーはあの時言った、「私はオフシーズンの間、リーグで最も勝ちたがっている選手を集めてきた」と。その言葉にウソはない。
ウォーカーと、ウィリアムスは技術や潜在能力の部分ではNBAでも屈指の力を持っているが、NBAの常勝エリートチームからは全くといってよいほど必要とされない存在だったと言っていい。その理由は簡単、勝つためのプレイよりも自分のやりたいプレイを優先してしまうという評価にあった。そんな世間の声は本人たちの耳に入らないわけはない。2人は自分の力を最も証明したかった2人だったと思う。その気持ちがあの劇的なチームを生んだ一つの要素だ。
事実、このシーズンの2人は見事なまでのチームプレイヤーだった。
もう一つは勝ちたかったベテランの存在だ。ゲイリー・ペイトンとアロンゾ・モーニングだ。どちらもオールスター出場は数知れず、シドニーオリンピックの代表として、金メダルを獲得している疑いようのないスター選手。しかし、チャンピオンリングだけは、彼らのコレクションになかった。
アロンゾ・モーニングとパット・ライリーの関係はもはや選手とコーチを超えていた。ライリーはそれを「戦友」と表現している。アロンゾを中心に90年代後半のマイアミはNBAの歴史の中でも素晴らしいチームを作り上げたが、そのつどMJやニューヨークによって、その行く手を阻まれてきた。そんな苦難は私たちの想像を遥かに超えるものだったに違いない。ライリーはLA時代の最後の優勝から、実に18年ぶりにチャンピオンに返り咲いたのだった。
その間の苦悩をライリーは、「今までのチャンピオンリングを捨てても、欲しかった優勝」と表現していた。
この2人には本当にいろいろなことがありすぎた。アロンゾが突然ライリーのオフィスを訪ねてきて、(腎臓病が発覚し)「NBAから去らねばならないときが来た」と伝えに来たこともあったそうだ。また、ある練習中に胸ぐらをつかまれ、「コーチとしてもっとしっかりしてくれ」と怒鳴られたこともあるとか。そんな情熱的なアロンゾがなかなか勝てないのを見るのは辛かった、とライリーは語る。
ともあれ、アロンゾもライリーもあきらめなかったのだ。
この第6戦のアロンゾの活躍は言葉ではとても表現できない。シャックの控えとして限られたプレイタイムの中で、アロンゾはその1秒、1秒に魂を込めていたように見えた。神出鬼没なブロックを連発し、雄叫びをあげた。ダラスのプレイヤーにとっても、絶対に不可能と思える距離から、信じられない速さで飛んでくるブロックは、初めての体験だったかもしれない。そもそも、スポーツの世界では絶対ほどアテにならない言葉はない。
ここまでの話に今年のボストンも共通の部分を感じるの私だけだろうか。
全ては、昨年のオフシーズンのトレードから始まった。
しかし、ダニー・エインジは、リーグ屈指のシューターを連れてきたわけでも、リーグで最高のオールラウンダーを引っ張ってきたわけでもなかった。
彼は、リーグで最も勝ちたがっていたバスケット選手を集めた。
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